20/常滑フィールドトリップ2008

◎ 活動記録 020_2008

□常滑フィールドトリップ2008

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展覧会コンセプト
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出展者と作品内容
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展覧会場ルートマップ
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展覧会を終えて

    常滑フィールド・トリップ2008とは何か
    <地域と創造> アート、デザイン、ドキュメンタリーの方法で

 崩れかけた工場やレンガ煙突、古びた空き家や空き地、起伏のある細い路地や川筋の長屋。昭和イメージの駄菓子屋などの残るさびれた商店街。焼きもの産業が隆盛だった頃には活気のあった地域の風景も今はすっかり色あせ、ノスタルジーと共に一つの時代の終焉を刻印されたかのような光景がひろがる町、常滑。

 中部国際空港が愛知県常滑沖に開港したのと同じ年の2005年。アートやデザインなどの仕事や教育に関わる私たちが、常滑の観光コースとなっている一画で、使われなくなった元焼きもの工場を借り受け、改装してギャラリー兼アトリエ「art&design rin’」を立ち上げた。発足以来、名古屋芸術大学(以下、名芸大)の在学生や卒業生、常滑在住のクリエーターらとの関わりの中で小さな創造的活動を地域の中で積み重ねて来た。
 発足当初から関わっていた名芸大の卒業生が、その後、愛知県立芸術大学の大学院へと進み、新たな関係が広がるなかでフィールドでの展覧会の開催に向けて動き出したのが2008年6月1日であった。
 準備期間は、わずか4ヶ月半。といって慌てるわけでもなく、出来ることを出来るところまでやってみようという常滑的楽観的な気持ちで周辺に声をかけたところ思いのほか多くの参加者が集まり、いつしか展覧会規模もふくれあがり、周囲の心配を余所に着々と準備は進み、展覧会の名前もすんなりと「常滑フィールド・トリップ2008」に決まった。

 名鉄常滑駅から程近い「とこなめ焼き物散歩道」と名付けられた観光エリアとそこに隣接した商業・住宅エリアの「とこなめ中央商店街」を結ぶ往復約3.5kmのコース上に点在する14箇所の展示場所。半日ゆっくり散策しながら楽しめる範囲である。
 本企画では、この土地の歴史や風土などとの関わりの中で作品を考え、制作して行くという事が自然な形で了解されており、多くの出展者が常滑に宿泊・滞在し、地域の人々とも触れ合いながら制作と生活の時間を共にした。
 このような地域の生活エリアを会場として開催される企画は、最近では、いたるところで行われている。その多くが、地域の活性化などの目的を外から与えられた中で企画されているようだが、本企画は外部からの要請があったわけではない。私たちが、自主的に始めたのである。この町の歴史と風土が生み出す魅惑的な場の力が、ここを訪れる私たちのような酔狂者の創作意欲をかき立てるのである。
 本展覧会は、表面的には、街おこしの一環として「仕事」で依頼された企画の専門家が手がける「アートイベント」のようなものに見えるかも知れない。しかし、それとは本質的な部分での大きな違いを感じている人は、意外にも少なくないようだ。

 何の後ろ盾もないなかで始められた「常滑フィールド・トリップ2008」。それは、企画としても展覧会としても未熟なものにすぎない。しかし、約3ヶ月のあいだ参加者の多くが常滑に宿泊・滞在して地域と関わりながら過ごした過程を通して、それぞれの作品や展覧会全体の実現とともに、形に表れない「もうひとつの何か」が、思いがけず、地域の人々と私たちとの間に生み落とされたと、私は実感している。
 次のステップへと踏み出せそうな予感と共に、「常滑フィールド・トリップ2009」の開催を望む声が、すでに、どこからともなく聞こえてきている。

             art & design rin’ 坂倉 守(さかくら・まもる)